サマリー
将来のために投資を始めてみたいと思ってはいるけれど、なかなか時間も取れないし、勇気も出ない――そんな働く女性におすすめなのが、投資信託や外貨預金、金投資などの「積立」です。少額から始められ、一度、毎月の積立額や積立方法を設定すれば、そのあとはほとんど手間もかかりません。今回は、そんな「積立」の魅力と、賢く将来の資産形成につなげるためのポイントをご紹介します。
働く女性に「積立」が向いている3つの理由――少額・手間なし・値動きを気にしなくていい
「投資」と聞くと、多くの人が真っ先に頭に思い浮かべるのが、株式投資です。でも、株式投資は、日本の株式市場だけでも約3,900社に及ぶ上場企業の中から自分で投資先を選ぶ必要があり、さらに値動きも比較的大きいのが特徴です。個人的に株式投資に興味・関心がある場合はよいのですが、そうではない場合、仕事や家事に忙しい働く女性が、株式市場や個別企業の情報を常にウォッチするというのはなかなか大変であるのも事実です。
そこで「投資を始めたいとは思っているけれど、どうしたらいいかわからない」「日々、投資の情報をウォッチするのは難しそう」と思っている人におすすめしたいのが、「積立」です。 積立とは、一言でいうと、同じ金融商品を、一定額ずつ、一定のペースで買い付けていくこと。多くの場合は、毎月一定額を積み立てることを指します。
積立の大きなメリットの1つが、少額から始められることです。金融機関や商品によっても異なりますが、毎月数百円、数千円といった金額からでも始められます。
2つ目は、手間がかからないこと。一度、毎月の積立額や商品を設定してしまえば、あとは自動的に買い付けてくれるので、毎月自分で手を動かす必要はありません。「忙しくてすっかり忘れていた!」という事態も防げます。
そして3つ目が、「いつ買うのがいいんだろう」「今は本当に買い時なの?」と悩まなくてよい、ということです。 投資をするときに多くの人が気になるのが、買うタイミング。「今は高いかもしれない」「もう少し下がってから買ったほうがいいのでは」と考えて結局、何年も始められていない、という話もよく耳にします。
でも、毎月自動的に買い付けてくれる「積立」なら、価格が上がっているときも、下がっているときも、淡々と購入することができるので「いつ買うか」ということに気をとられる必要がないのです。
「ドル・コスト平均法」はこんなにすごい
定期預金の自動積立や財形貯蓄なども「積立」のひとつではありますが、積立の本来の魅力がより発揮されるのが、投資信託や外貨預金、金投資といった値動きのある金融商品を積み立てる場合です。
値動きのある商品を毎月一定額、積み立てることには、単に「手間がかからない」というだけではない、合理的な理由があります。
例えば、同じ投資信託を毎月1万円ずつ、積立で購入するとします。 その投資信託の価格が1口1,000円なら1万円で10口買えますが、500円に下がれば20口買えます。反対に2,000円に上がれば、買えるのは5口です。
勘のするどい人ならもうお気づきかもしれません。つまり、毎月、一定額を積立していくと、放っておいても「価格が安いときにはたくさん」「価格が高いときには少なく」買うことになるのです。その結果、長期で積立をすればするほど、購入価格が平準化され、下がりやすくなる効果が期待できます。 これを投資の世界では「ドル・コスト平均法」と呼びます。
また、安定的に資産形成をしていくうえでは、「安いときに買う」ことがとても重要です。でも、価格が右肩下がりのとき、または急落したときに自信を持って買い増しをするのは心理的に難しいもの。
そんなときでも、積立なら価格に関係なく、自動的に買い付けてくれるので、気持ちに振り回されずに「安いときに買う」ことができます。このことも、ドル・コスト法のメリットをさらに後押しすることにつながります。
アインシュタインも認めた!? 「複利」の効果とは
「積立」が安定的な資産形成につながる理由として、「複利」の効果も忘れてはなりません。
複利とは、運用によって得られた利益を受け取って使ってしまうのではなく、再び運用に回すこと。「元本+利益」が次の利益を生み出していく仕組みです。単純化して説明すると、1万円を投資して1,000円の利益が出た場合に、次はその利益を加えた1万1,000円を元本として投資をしていく、ということです。雪だるまを転がすと、周りの雪を巻き込みながら大きくなっていくのをイメージするとわかりやすいかもしれません。
では、実際にどのくらい違うのでしょうか。
仮に毎月3万円を積み立てた場合、10年間での元本は360万円、20年間なら720万円です。これを年3%で複利運用できたとすると、10年後には360万円の元本が約418万円に、20年後には720万円の元本が約981万円になります(手数料や税金などは考慮していません)。
さらに注目したいのは、積み立てた年月が長くなるほど、元本との差が大きくなっていく、ということです。10年後の利益は、約418万円−元本360万円で約58万円。20年後には約981万円−元本720万円=約261万円。試しに30年後も計算してみると、約1,736万円−元本1,080万円=約656万円と、その差はどんどん広がっていきます。
アインシュタインが『複利は世界最大の発明』と語った、という有名な逸話もあります。実際に本人がそう語ったかどうかは定かではありませんが、それほど複利の力は大きいということでしょう。利益が新たな利益を生み、その利益がさらに次の利益を生む。積立を早く始め、長く続けることが大切だと言われる理由のひとつが、この「複利」の効果なのです。
投資信託、外貨預金、金投資……あなたは何を積み立てる?
ひとくちに「積立」といっても、商品にはさまざまな選択肢があります。
初めて投資にチャレンジする人にとって定番の選択肢といえるのが「投資信託」です。投資信託とは、私たちのような投資家ひとりひとりから集めたお金をひとまとめにして、株式や債券などに分散して投資する金融商品。一人ひとりの投資額が少額でも、多くの投資先に分散して投資ができるので、株式投資に比べると値動きが安定しやすい傾向があります。また、NISA口座を利用すれば、運用によって得られた利益が非課税になります。
「外貨預金」の積立は、銀行などで毎月一定額を円からドルなどの外貨に替えて積み立てることを指します。一般的な円預金の自動積立と異なり、為替レートの影響を受けるため、場合によっては円に戻したときに元本割れする可能性もあります。一方で、通貨によっては、円預金より高い金利が期待できるのが魅力。また、為替レートが変動するなかでも、毎月一定額を積み立てることで、円高のときには多く、円安のときには少なく外貨を購入しながら、購入するタイミングを分散できます。
「金」も積立で購入できます。金は、株式とも通貨とも異なる値動きをすることが多く、他の投資と組み合わせると全体での値動きが安定しやすくなります。一方で、金には、投資信託の分配金や、外貨預金の利息のような、保有していることで得られる利益がない点には注意が必要です。
いずれにしても大切なのは、「どの商品が一番よいか」ではなく、それぞれの特徴やリスクを理解したうえで、自分に合ったものを選ぶこと。そして、自動で積み立てされる設定さえしてしまえば、日々、頭の隅で投資のことを気にする必要はなくなります。将来への安心を少しずつ育てながらも、時間とお金を今の生活をさらに楽しむことに使えます。
「貯めなければ」と頑張り続けるのではなく、「積立」という仕組みに任せる。その一歩を踏み出すことが、今も未来も大切にするための、新しいお金の習慣になるはずです。
※ 本文は、著者の調査・経験に基づき一般的な内容を掲載したものです。また、各種制度、政策および投資環境については執筆時点のものであり、将来変更となる可能性がございます。資産運用においてはお客様ご自身の収入や貯蓄、生活スタイル等に基づいてご判断ください。