株式投資で得られる利益には、株価の値上がりによる収益(キャピタルゲイン)と、企業から受け取る配当金(インカムゲイン)の2種類があります。NISAの成長投資枠を活用して株式投資をすれば、配当金を非課税で受け取ることが可能です。

本記事では、高配当株投資の基本的な仕組みや、銘柄を選ぶ際のポイントなどを解説します。実際に高配当株投資を始める前に、メリットとデメリットの両面を理解しておきましょう。

そもそも配当金って何?

配当金とは、企業が事業で得た利益の一部を株主に還元するお金です。株式を保有している投資家は、企業の業績に応じて年に1〜2回程度、配当金を受け取ることができます(ただし、配当を実施していない企業もあります)。

この配当金による収益を「インカムゲイン」と呼びます。インカムゲインは、キャピタルゲイン(株価の値上がり益)と並ぶ、株式投資の主要な収益源です。

なお、配当金の高低を測る際に役立つのが「配当利回り」という指標です。配当利回りは、年間の配当金を株価で割って計算され、パーセンテージで表示されます。例えば、株価が1,000円の銘柄が年間50円の配当を出す場合には、配当利回りは5%となります。

ただし、配当金は企業の業績や経営方針によって変動する可能性があります。配当の原資は企業が得た利益であるため、投資先を選ぶ際には経営や事業の安定性も重要な判断材料です。

NISAで配当金を受け取るには

NISAで配当金を受け取るためには、成長投資枠を活用する必要があります。2024年から始まった新NISAでは、つみたて投資枠と成長投資枠の2つの枠組みがありますが、個別株式に投資できるのは成長投資枠のみです。

成長投資枠の年間投資上限額は240万円で、トータルの投資上限額は1,200万円となりました。また、NISAの非課税保有期間は無期限で、長期的な配当収入を見込めるようになりました。

配当金を非課税で受け取るためには、証券会社での受取方法の設定も重要です。「株式数比例配分方式」を選択することで、NISA口座で保有する株式の配当金が非課税となります。NISA口座で投資をするときは、忘れずに株式数比例配分方式の設定をおこなっておきましょう。

【高配当株・インデックス・成長株】配当金を得るための投資手法とは?

高配当株投資は、配当利回りが高い企業の株式に投資して、定期的な配当収入(インカムゲイン)を得ることを目的とした投資手法です。インデックス投資や成長株投資とは異なる特徴があり、それぞれにメリットとデメリットが存在します。

項目高配当株投資インデックス投資成長株(グロース株)投資
投資タイプ・定期的な現金(配当)収入が欲しい人
・投資による「不労所得」を実感したい人
・比較的安定した運用を好む人
・手間をかけずにコツコツ長期投資したい人
・リスクを抑えて堅実に資産形成したい人
・大きなリスクを取ってでも高いリターンを狙いたい人
・企業分析や情報収集が好きな人
・長期的な視点で企業の成長を待てる人
主な目的配当金(インカムゲイン)値上がり益(キャピタルゲイン)大きな値上がり益(キャピタルゲイン)
投資対象配当利回りが高い個別企業市場指数(インデックス)に連動する運用を目指す投資で、その指数を構成する複数の株式・債券など     将来急成長が期待される個別企業
主な特徴・定期的に現金(配当)収入が得られる
・株価の値動きは比較的安定傾向
・成熟した大企業が多い
・市場全体に自動で分散投資される
・運用コストが低い(パッシブ運用)
・市場の平均点を狙う
・利益を再投資に回すため配当は少ないかゼロ
・株価の変動(リスク)が大きい
・新興企業やIT系企業が多い
メリット・定期的な現金(配当)収益(キャッシュフロー)
・株価下落時も配当収入が得られる可能性がある
・NISAとの相性がよい(配当非課税)
・低コストで広範な分散が可能
・投資の手間がかからない
・投資初心者でも始めやすい
・市場の平均的な成長を狙える
・株価が数倍になる大きなリターンが期待できる
・経済のトレンドに乗りやすい
デメリット・株価の大きな値上がりは期待しにくい
・減配(配当が減る)や無配のリスクがある
・銘柄選定に知識が必要
・短期間で大きな利益は狙いにくい
・市場平均以上のリターンは得られない
・市場全体が下落すれば同様に下落する
・株価の変動(ボラティリティ)が非常に激しい
・期待が外れると株価が大きく下落するリスクがある
・銘柄選定の難易度が非常に高い

上記の表からわかるように、投資手法によってメリットとデメリットがあり、絶対的な正解はありません。メリットを踏まえると、例えば安定的にインカムゲインが欲しいという方は、高配当株投資が向いているでしょう。

対して、投資の手間やコストを抑えたい方は、インデックス投資が向いているでしょう。
このように、投資目的や自身のリスク許容度に応じて、適度な投資手法を選択することが大切です。

<NISAで高配当株投資がおすすめな理由・メリット>

高配当株投資が持つ、魅力的なメリットを紹介します。

配当金を非課税で受け取ることができる
NISAで高配当株投資をおこなうメリットは、配当金を非課税で受け取れることです。通常、株式などの配当金には20.315%の税金がかかりますが、NISA口座では税金が一切かかりません。[注1][注2]

例えば、年間100万円の投資で配当利回り4%の場合、年間4万円の配当金をそのまま受け取れます。リタイアする段階で1,000万円を運用できていれば、年金の上乗せとして年間40万円の配当金が見込める計算です。

[注1]国税庁「株式・配当・利子と税」
[注2]NISA(金融庁)「NISAを知る」
 

投資の成果を実感しやすい
定期的に現金収入が得られることで、投資の成果を実感しやすいという心理的なメリットもあります。株価が一時的に下落しても、配当金という形で利益を確保できれば、長期投資を継続しやすいでしょう。 

比較的業績が安定している企業が多い
さらに、高配当株は成熟した大企業が多く、比較的業績が安定している傾向です。なかには、10年以上にわたって減配(配当金を減らすこと)をしていない企業もあり、安定的な配当が期待できます。

<NISAで高配当株投資をするデメリット>

高配当株投資をおこなううえで、理解しておくべきデメリットも紹介します。

減配・無配のリスクがある
高配当株投資には、減配リスクというデメリットが存在します。企業の業績悪化により配当金が減額されたり、最悪の場合は無配になる可能性があります。特に景気に敏感な企業の場合、不況に陥ると配当金にも悪影響が出る可能性が高いでしょう。

個別株投資によりリスクが集中する
高配当株投資は個別株投資となるため、投資信託と比較するとリスクが高い傾向があります。1つの企業に投資が集中すると、その企業の業績悪化が損益に直接影響します。分散投資を心がけるとともに、複数の銘柄を分析する知識と時間、投資余力を持つことが大切です。

株価の大幅な上昇は期待しにくい
成長性の面でも課題があります。高配当株は成熟企業が多いため、株価の大幅な上昇(キャピタルゲイン)は期待しにくく、トータルリターンでは株価の成長が著しい成長株投資に劣る可能性があります。

NISAで高配当株投資をするためのポイント

NISAで高配当株投資を成功させるためには、銘柄選定と投資戦略が重要です。単に配当利回りが高い銘柄を選ぶだけでなく、企業の財務状況や将来性を総合的に判断する必要があります。
 

株価が安定している・上昇傾向なところを選ぶ

高配当株を選ぶ際は、過去の配当実績を確認することが重要です。リーマンショックやコロナショックなどの経済危機でも配当を維持、または増配している企業は、財務基盤が強固で信頼性が高いといえます。

業績の安定性も重要な判断材料です。売上高や営業利益が右肩上がりで推移している企業は、将来的にも安定した配当が期待できます。特に配当性向(純利益に対する配当金の割合)が30〜50%程度の企業は、配当余力があり、増配の可能性が期待できると筆者は考えます。
 

資産形成の基本(計画・分散)を意識する

高配当株投資を目指すためには、資産形成の基本である分散投資を意識することが大切です。投資先企業の区分を分散したり、投資するタイミングを分散したりして、リスクを軽減しましょう。

最低でも10銘柄以上、できれば15〜20銘柄に分散投資することで、個別企業のリスクを抑えられます。加えて、金融・通信・商社・食品など、投資先を異なる区分の業種に分散させることで、特定業界の不況による影響を抑えられます。

もし自分で銘柄を選定するのが難しい場合、高配当株へ投資する投資信託やETFを活用するのも選択肢の一つです。

まとめ

NISAを活用して高配当株投資をすると、配当金を非課税で受け取ることが可能です。過去の配当実績や業績推移を確認し、長期的に安定した配当が期待できる銘柄を選べば、将来的に安定した配当収入を得られる可能性があります。

ただし、個別株投資にはリスクがともないます。例えば、適切な銘柄を選定するためには、十分な知識と分析が必要です。分散投資を心がけ、業種の偏りも避けてリスクを軽減しましょう。投資信託を活用するのも選択肢の1つです。

※ 本文は、著者の調査・経験に基づき一般的な内容を掲載したものです。また、各種制度、政策および投資環境については執筆時点のものであり、将来変更となる可能性がございます。資産運用においてはお客様ご自身の収入や貯蓄、生活スタイル等に基づいてご判断ください。

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コラム著者

柴田 充輝氏
FP1級・社会保険労務士