サマリー
年末年始で支出が多くなり、新年早々、節約に取り組んでいる方もいるのではないでしょうか。クリスマスやお正月がある年末から年始にかけての時期は、ここフランスでも多くの家庭で支出が膨らみがちです。
しかし、自分にとって必要な支出のためには、あらゆる工夫や努力を惜しまないフランス人。必要なものを安く買うために、近年、冬場の消費の仕方も変わってきているようです。この記事でフランス人の冬場の買い物の仕方を紹介しますので、皆さんも今後の参考にしてみてはいかがでしょうか。
年末年始のフランス支出事情
国立統計経済研究所(INSEE)によると、フランスでは月別の家計消費量は例年12月が最も多い傾向にあるようです。例えば、2024年12月の家計消費(全品目計)は、その年の平月の平均と比べて16.9%高い水準とのことです。[注1]
品目別でもいくつか例を挙げてみましょう。
| 書籍 | +78% |
| 時計・宝飾品 | +64% |
| 中電子機器(スマートフォン、パソコン等) | +33% |
| 衣服・履物・革製品 | +24% |
出典:INSEE「Note de conjoncture(2025年3月18日公表分)」
実は、ここに挙げた品目は、フランスでクリスマスプレゼントとして贈ることが多い品々(子どもへの玩具を除く)です。
家庭にもよりますが、一般的にフランスでクリスマスは家族・親戚が集まる大切な機会であり、普段とは異なる食事や室内外のデコレーション、クリスマスプレゼントの準備を行います。家族が集まり、おせち料理を食べ、松飾りや鏡餅を飾る日本のお正月に相当する季節のイベントともいえます。そう思えば、他の月よりも買うべきものが多くなることはイメージできるのではないでしょうか。
フランスでは、クリスマスプレゼントはサンタさんが届けてくれるものと信じる子どもを除き、ある程度の年齢になれば、自分以外の集まる人それぞれにプレゼントを用意するのが一般的です。家族や親戚の人数によっては各人が数個~十数個のプレゼントを用意する必要があります。品目によって12月の家計消費量が大きく増えているのは、このような習慣も影響しているでしょう。
ちなみに、クリスマスの1週間後の大晦日には、友人・知人または家族・親戚で集まり、また飲食を楽しむのが一般的な過ごし方です。このときも、多人数分の料理に年明けカウントダウンのためのシャンパン等々、買い揃えるものが多々あり、支出も大きく膨らむ傾向です。
[注1] INSEE「Désordre mondial, croissance en berne Note de conjoncture(2025年3月18日公表分)」
支出を抑えるためには「安いときに買う」
しかし、近年ではクリスマス前の消費行動に変化が生じ、12月の消費量は低減する代わりに、11月の消費量が増加傾向にあります。これは、数年前からフランスでも定着してきているブラックフライデー(11月の第4金曜日)を利用して、クリスマスの買い物をできるだけ安く購入しようとする人が増えているためだと言われています。実際に、ブラックフライデー当日に、ショッピングモール近辺で交通渋滞が起きるほど人々が集まる様子を、筆者も何度か見かけました。
フランス人の多くは自分にとって必要な支出のためにはあらゆる工夫や努力を惜しまない傾向があることは、「Vol.76|三度のメシよりバカンス好き?! フランス人に習う旅行費用の作り方と抑え方」の記事でも紹介しましたが、冬場のイベントにおいて必要なものの購入は、安売りチャンスを逃さないということかもしれません。
政府も賢い消費を推奨?!フランスのソルド(バーゲン)
安売りチャンスといえば、年2回実施される夏・冬のソルド(バーゲン)も大切な買い物の機会です。ソルドの時期が近づくと、フランス政府は省庁のサイトやメルマガなどで「賢いお金の使い方」の情報提供をするほどであり、多くの消費者が関心を寄せている様子がうかがえます。
フランスのソルドは日本のバーゲンと異なり、全国的にあらゆる店舗で同日に一斉に開催されることが特徴です。この開催日と終了日は毎年政府によって決められ、政府サイトで公表されます。消費者にとっては事前に安く購入できる時期を把握できるため、計画的な支出をしやすくなります。
ここで、ソルドに関して法律で決められているルールをいくつか紹介しましょう。
| 時期 | 夏・冬の年2回、政府が決めた日に一斉開始。ソルド期間は4週間。ソルド対象商品が売り切れた場合は早期に終了してよいが、期間延長はなし。 |
| 販売商品 | 少なくともソルド開始日の1ヵ月前からその店舗で販売されていた商品に限られる。ソルドのために仕入れた物品をソルドとして販売するのは禁止。 |
| 値段表示 | 元の販売価格と値引き後の価格(または割引率)を必ず表示。 |
| 返品、交換対応 | 通常商品(ソルド対象外商品)との違いを設けてはならない。 |
なお、日本では夏・冬バーゲンといえば衣服や靴、季節のアイテムが値引き販売されるのが一般的です。しかし、フランスではこれらのほか家電製品、日用品、家具・インテリア&エクステリア雑貨、工具類、植物、メガネのフレームなど、多種多様なものが値引き対象になります。
デザインやサイズなど、自分に合うものが販売されているとは限りませんが、あらゆるものがソルドで購入できます。日常的に必要なもの、来年必要な季節アイテムなど、「時期をずらして安く買う」というフランス人の消費行動は、従来あるソルドから培われたものかもしれません。
なお、政府は、消費者に対してソルド商品でも「値札に記載されている元値を他店舗との同じ商品と比較し、本当にお得になっているかどうか確認する」ことを推奨しています。ソルドを通して、フランス人の多くはただ安く買うだけでなく、賢くお金を使うことを自然と身につけていくのだろうと、筆者も感心しています。
安いときにまとめて買うためにはお金の管理も大事
ソルド(バーゲン)のあり方は日本とフランスでは異なる部分もありますが、「安いときに賢く買う」フランス人流の支出の仕方は日本でも真似できることでしょう。
とはいえ、安く買えるチャンスが廻ってきたときにチャンスを逃さず買うためには、使えるお金を手元に用意しておくことが大切です。一方、いつかは必要になるからと安く買っても、実際に使用する時期がまだまだ先で結果的に無駄遣いとなってしまう可能性もあります。
つまり、賢い支出のためには、支出の計画性とお金の管理が重要なのです。自分や家族にとって何が・いつ必要かを明確にして、数ヵ月後に使うお金、数年後に使うお金など、預貯金や投資信託など金融商品を使い分けながら管理することが大切です。無駄にお金を使わないためにも、次の値引きの機会を待ちながら、投資信託などで使えるお金を増やすという方法もおすすめです。
※本文は、著者の調査・経験に基づき一般的な内容を掲載したものです。また、各種制度、政策および投資環境については執筆時点のものであり、将来変更となる可能性がございます。資産運用においてはお客様ご自身の収入や貯蓄、生活スタイル等に基づいてご判断ください。