アムンディ・次世代医療テクノロジー® ・ファンド（愛称：みらいメディカル®）

医療テクノロジー関連銘柄は、9月の調整から大きく反発しました。薬品株が反発に転じたことに加え、外科手術関連と非侵襲的治療機器を中心とした個別銘柄の好業績が追い風となりました。手術支援ロボットを手掛けるインテュイティブサージカルの7－9月期決算は、前年同期比で20％を超える増収増益と極めて良好なものとなりました。同社システムを用いた手術件数は前年比20％増加となり、システムの新規導入実績も期待を上回るペースで拡大が続いていることから、年度の手術件数見通しも上方修正されました。他社製の互換部品に対する需要も拡大しているものの、これは同社システムへの強い需要を示すものです。好決算を反映して同社株価は月中円ベースで約24％上昇し、当マザーファンドの基準価額上昇幅の30％以上を占める寄与となりました。非侵襲的治療機器では、スマートグラスや近視抑制レンズなどを手掛けるエシロールルックスオティカと、メガネレンズ以外にHDD基板や光アイソレーターなど電子機器向けガラス製品も手掛けるHOYAが続伸、歯科インプラント治療機器を手掛けるストラウマン・ホールディングも北米でのシェア獲得などで堅調な業績となり、反発したことがプラスに寄与しました。ストラウマン・ホールディングは、矯正歯科分野における新たな戦略的提携を発表し、イノベーション促進と利益率の向上を図っています。その他のセグメントは個別銘柄の差は大きいものの、セグメント全体としては小動きでした。心血管ではボストン・サイエンティフィックが好決算で上昇しましたが、ペナンブラやメドトロニックが反落、診断機器ではサーモフィッシャーサイエンティフィックやダナハーの反発がアボットラボラトリーズの下落で相殺され、糖尿病関連ではデクスコムの反発がバクスターインターナショナルの下落で相殺されました。

ポートフォリオでは整形外科関連でオットーボックとエノビスに新規投資しました。オットーボックは当月新規上場したドイツ企業ですが、第一次世界大戦の負傷者向けの義肢製造から事業を興した歴史ある企業で、今日ではデジタル制御や3Dプリントなど先進的な技術を活用して、様々な義肢や装具を手掛けています。エノビスは、人工関節や人工関節用材料、リハビリテーション機器などを手がけています。全体としては各セグメントの配分に大きな変化はありませんでした。

医療テクノロジーセクターは、5月以降株価の動きが停滞していましたが、これは外部要因や投資家の資金フローを反映したものであり、業界を取り巻くファンダメンタルズ（基礎的条件）は依然として良好であると当ファンドは考えています。これは10月末までに発表された主要企業の7－9月期決算が好調に推移していることからも裏付けられます。手術件数は堅調に推移し、価格設定もおおむね安定しており、設備投資環境も健全です。2026年の成長、関税、中国、競争の動向について、一部投資家の懸念は依然として残っていますが、決算発表後の各企業のコメントは、行き過ぎた懸念を払しょくするものです。 

10月に米国で開催された医療業界のイノベーションを医療関係者に照会するコンファレンスには、12,000人を超える参加者が集まりましたが、ここでもAIが注目を浴びました。診断の補助の他、医療事務の効率化においても、AIの可能性は大きく、コスト抑制と価値に基づく医療（バリューベース・ケア）への移行を支える潜在的な手段として今後の活用が進むと予想されます。もっとも、医療分野においては、確固たる安全対策、強固なガバナンス、臨床的検証が重要と考えます。コンファレンスで繰り返し強調されたのは、ツールが臨床業務に真に役立つために、臨床医や、特に看護師を初期段階から関与させる必要性でした。

新製品導入の増加、堅調な設備投資の受注残、イノベーションに支えられた好調な手術動向を踏まえ、当ファンドは医療テクノロジーセクターについて引き続き前向きな見方を維持しています。