2018/11/22パリ協定:断固とした一歩を踏み出すも、気候変動の緩和には不十分

2018/11/22パリ協定:
断固とした一歩を踏み出すも、
気候変動の緩和には不十分

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地球温暖化はすでに段階を経て進んでいますが、現在の状況はその主因が人間活動にあること、そしてかつてないほどの速度で進行しているという点で、これまでとは異なっています。気候変動の大きな要因である人為的な温室効果ガスの排出がこのままのペースで続けば、2100年までには人間は産業革命前と比べて5℃近く気温が上昇した地球で生活をすることになるとされています。

進行する気候変動の深刻さを訴える科学者やNGOの声の高まり、それを受けての抜本的な変革の必要性、環境対策の緊急性を背景に、国際協力の下で取り決めの枠組みが構築され、20年をかけて改良が重ねられてきました。

リオからパリへ:国際社会の関心の高まり

1992年にブラジル・リオデジャネイロで開催された第3回地球サミットは、地球環境に関する政府間協力の道筋を決める揺るぎない一歩となりました。この会議において採択された国連気候変動枠組条約は1994年3月21日に発効し、条約批准国による多国間行動の法的根拠となっています。この批准国は「締約国」と呼ばれ、現在197カ国、つまり地球上のほぼすべての国が参加していることになります。

締約国は毎年、条約の意思決定機関である締約国会議(COP)を開催し、条約に則した環境政策を決定しています。この枠組みの下で合意されたのが、1997年の京都議定書と2015年のパリ協定です。

2016年11月4日に発効したパリ協定は、「世界的な平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求する」という野心的な目標を掲げ、国際社会が初めて具体的な定量目標の下で温暖化の進行を抑える約束をした、画期的な取り決めです。パリ協定の枠組みは、温室効果ガスの排出削減によって温暖化を軽減するための手段といえます。

パリ協定:国内の取り組みが鍵となる国際的な約束

温室効果ガスの排出は「自国が決定する貢献」を通じて削減しなくてはならず、各締約国はその貢献の内容を5年ごとに提出することになっています。協定では「累次の貢献は(中略)従前の貢献を超えた前進を示し、及び可能な限り最も高い野心を反映する」ものとし、目標の上方修正を促す仕組みになっています。

また協定では締約国それぞれの状況を踏まえ、「各国の異なる事情に照らした共通に有しているが差異のある責任及び各国の能力」を考慮しています。そのため先進締約国に対しては「全経済にわたる排出の絶対量の削減目標をとることによって、引き続き先頭に立つべきである」とし、開発途上締約国に対しては、温室効果ガスの排出量が最大に達する時期が「より長期化する」ことを認識しつつ、絶対的な削減目標が定められるようになるまでは自国の「緩和努力を高めることを継続すべきである」としています。

この他、「全体的な進捗を評価する」ために、世界全体の実施状況の確認(グローバル・ストックテイク)を定期的に行う、ともしています。第1回の確認は2023年の締約国会議で実施し、その後は5年ごとに行うことになっています。

パリ協定:必要ながら、まだ不十分?

パリ協定は、その非常に意欲的で画期的な内容が評価される一方で、批判も多く受けています。その最も中心的なものは、各国の排出削減目標に法的拘束力がない、つまり達成できなかった場合の罰則がないということです。国際社会はパリ協定をより各国のインセンティブを促すような形にすべきであったし、気候変動の緊急性を踏まえれば、拘束力のある規定を設ける必要があったでしょう。とはいえ、各国の貢献の枠組みは透明性に基づくものであり、削減目標の約束が果たされなかった場合には、公に批判を受けることになります。

各締約国の貢献は「可能な限り最も高い野心を反映する」ものとしていますが、その内容は各国の裁量に任されています。パリ協定を採択した2015年の締約国会議(COP 21)の最終宣言では、約束草案に基づいた2025年および2030年の温室効果ガスの推計総排出量では「2℃シナリオ」に収まらず、むしろ2030年には55Gtの排出が予測されると指摘しています。さらに、世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2℃未満に抑えるには排出量を40Gtにする必要があり、それには約束草案よりも大きな排出努力が必要である、ともしています。 

ところで、現在の気温上昇の状況を踏まえれば、産業革命以前に比べて1.5℃に抑えるというのはすでに達成が不可能に思われます。この目標が協定に盛り込まれたのは、海面上昇による危機に直面している、気候変動の悪影響を最も受けやすい国々の要望が背景にあります。

一方で、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)では2℃目標の危険性を指摘し、1.5℃に抑えれば、人間や生態系に与える悪影響は避けられるとしています※1

パリ協定ではまた、開発途上締約国の気候変動対策を支援するために、先進締約国が途上締約国に公的資金を供与することも定めています。支援資金については年間1000億ドルを下限とすることで締約国間で合意されています。この金額は協定には盛り込まれていませんが、法的効力が緩和されたCOP 21の最終宣言には含まれています。

最後に重要なことは、米国が2017年にパリ協定からの離脱を決定したことです。最大排出国(住民1人あたりのCO2排出量に換算)である米国の貢献が得られなくなったことで、目標の達成は危うい状況です。

それでもパリ協定は地球温暖化抑制に向けた国際社会の約束として最も完成された取り決めであり、国際環境協力の歴史に残るものです。この歩みを決して止めてはなりません。2℃目標の達成可能性について各方面から疑念が示されている中、国際協調による行動は依然として重要です。パリ協定が優れた手段であることは間違いなく、それを有効活用できるかどうかは各国の姿勢にかかっているのです。

※1 IPCC, Special Report on Global Warming of 1.5 °C(1.5℃の地球温暖化に関する特別報告書) October 2018

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