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国内株式議決権行使のガイドライン


(2017年4月1日)

1.判定基準の趣旨

当社は適正に議決権等を行使するため、日本国内株式へ適用する標準ガイドラインを設ける。判定に当たり、コーポレート・ガバナンスの重要性を認識し、長期的な株主利益の最大化を目指す趣旨に従って行う。 なお、本ガイドラインは、個別議案への適用において、担当する投資戦略の哲学に照らしファンド・マネジャーが、付加的な判断を加えることを妨げるものではない。

2.判定に当たり判定者が配慮すべき視点

(2-1)

議決権等行使については、株主利益の擁護と強化、会社法など法令の適正理解と遵守、企業活動の継続性、社会一般との適切な関係、などの定性的な視点をベースに、判定に必要な情報開示が実行されているかを加味して、判定者が以下の点について検討する。

  • ① 剰余金の処分
  • ② 定款変更
  • ③ 取締役会およびその他の機関の構成および規模
  • ④ 取締役に求められる機能
  • ⑤ 監査役に求められる機能
  • ⑥ 企業の戦略
  • ⑦ 企業の社会的責任
  • ⑧ ①~⑦以外の個別案件

議決権等行使の判定者は、上記を踏まえた上で議案の個別精査が原則求められる。下記(2-1-1)~(2-1-3)は賛成あるいはネガティブ評価(反対あるいは棄権)の考え方等であるが、個々の議案が完全独立・自己完結するものではなく、ひとつの企業の中で相互に関連していることに留意する必要がある。従って、判定者はひとつの企業において、議案の個別精査と同時に総合的判定を下す努力をすることが望ましい。

(2-1-1)積極的に賛成に回る案件は次の通り

  • A)コーポレート・ガバナンス強化に資すると合理的に推定されるもの(例:社外取締役あるいは社外監査役の選任や増員、社内取締役の適正な減員、委員会設置会社移行)
  • B)自己株式取得等の適切な株主への利益還元

(2-1-2)原則ネガティブ評価はしないが、個別精査により反対に回ることも有り得る案件は次の通り

  • A)定款変更(コーポレート・ガバナンスが必要十分に確立していると客観的に認められ、かつ重大な株主利益侵害を含んでいないかどうかを鑑みて総合的に判断をする)

(2-1-3)原則ネガティブ評価とするが、総合的判定の中で賛成に回ることも有り得る案件は次の通り

A)剰余金の処分
  • イ)過大または過小な配当性向

    過去3期連続最終損益が黒字、かつ上場後5年が経過している企業で無配の場合。あるいは赤字決算における配当継続(ただし株主重視の配当政策上妥当性のある場合を除く)。特別損益よりも経常損益との見合いを重視。

  • ロ)著しい業績悪化

    前期に比べ著しい業績悪化(営業利益に着目)。あるいは同業他社と比較し著しい業績悪化(同業他社が過去最高益を更新した中にあって赤字に転落等)。

B)取締役および監査役の選任
  • イ)構成

    ①取締役員総数が18名を超える場合(合併直後などの事情は個々に考慮する)。
    ②取締役の増員の理由について明確かつ合理的な説明がなされない場合。
    ③独立性の十分な社外取締役が複数名選任されていない場合。
    ④監査等委員会設置会社において監査等委員である取締役総数に占める独立性の十分な社外取締役数の比率が50%以下となる場合。
    ⑤監査役設置会社において監査役総数に占める独立性の十分な社外監査役数の比率が50%未満となる場合。

  • ロ)不適格者の選任
    ①株主利益を大きく損なった者あるいは損なう可能性が高い者の新任および再任。景気循環や相場変動に依拠しない部分で損失を出した責任者等の新任および再任。その他取締役の職務遂行能力を疑われる理由を持つ者の新任および再任。
    ②資本コストに照らし、ROEが継続して低水準にあり、改善に向けた合理的かつ説得力のある経営改善策が示されない場合。
    ③当該企業との間に利害関係を有するなど、独立性に疑いがあると認められる者の社外役員としての新任および再任。当該企業の大株主(上位10位以内)ないしは主要取引先企業(メインバンク、下請企業、監査法人など)の業務執行者としての勤務経験を有する者、当該企業の業務執行者と三親等以内の親族関係にある者には独立性があるとはしない。また社外役員としての在任期間が長期にわたる者については、独立性が十分かどうかを鑑みて判断する。
    ④役員会への出席率が75%に満たない社外役員は、出席が十分ではなく、再任において肯定的な判断はできない。また兼務数が多い場合は、その職務を誠実に遂行するために十分な時間を確保できるかを鑑みて判断する。
C)取締役・監査役に対する報酬・賞与・退職慰労金の給付
  • イ)社会常識に反する取締役の報酬・賞与の引上げ等

    業績大幅悪化時における報酬・賞与額の引上げ等の特殊な場合。あるいは同業他社比較で成長性、収益性、経営力が劣後している時点での報酬増額。

  • ロ)不適格者に対する退職慰労金の給付

    過去3期連続経常赤字かつ次期に黒字転換が展望されない中での退任取締役に対する給付、あるいは企業犯罪により逮捕され、株主の利益を大きく逸失させた者に対する給付、監査役および社外取締役への給付。

  • ハ)不明朗な退職慰労金の給付

    『当社基準に従い相当額の範囲内で贈呈。具体的金額、贈呈の時期、方法等は取締役会(監査役については監査役の協議)に一任』という議案内容は、情報開示不十分のため基準抵触事例とする。

D)企業の財務戦略または事業内容の変更
  • 取締役、従業員へのストック・オプション

    株主との利益を一致させる有効な手段になり得るが、既存株主の持分が著しく希薄化する場合(累積で10%超)、行使価格を引き下げる場合、あるいは、経営執行陣に対する監督機能が期待される監査役、社外監査役、社外取締役および社外者などへの付与。

E)敵対的買収防衛策
  • 必要性が明確でない敵対的買収防衛策は、原則ネガティブ評価とする。買収防衛策を株主総会の決議なしに導入し、その後、株主総会の議案とならない場合は、原則として取締役候補の選任に反対する。
F)合併および企業再編成
合併、営業譲渡、会社分割など企業再編成については、株主価値への影響について、十分な説明がなされていないと判断される場合は、原則ネガティブ評価とする。合併比率、譲渡価額、割当比率などについて、中立的な第三者による算定根拠が示されない場合は、肯定的な判断は出来ない。
G)定款変更
株主利益の侵害に結びつく可能性がある定款変更。授権枠の大幅な拡大は株主価値の毀損を引き起こすため、あるいは買収防衛に利用されるリスクが高まるため、原則ネガティブ評価とする。取締役の任期の延長や、定款変更決議など特別決議に関する定足数の緩和についても肯定的な判断は出来ない。
H)株主提案
長期的な株主利益増大につながるかどうかの観点から精査した上で、一部株主の利益のみを追求する可能性がある場合。
なお、持続可能な発展と企業責任の問題についての株主決議案に関しては、企業の状況および特に以下の点を踏まえて議案の妥当性を個別に判断する。
イ)議案の採用により企業の慣行は改善し得るか
ロ)企業の現在の状況から判断して、短期的(風評リスク、法的リスク、ボイコット・リスクなど)または長期的な悪影響が生じる恐れがあるか
ハ)企業は議案に示された要求に対する適切な措置をすでに実行しているか
ニ)議案の承認に対する企業の分析は説得力があり、株主が議案で指摘した様々な問題に対応しているか
ホ)議案に示されている要求は不当なコストをもたらさないか、あるいは企業の立場を競争上不利にする情報の開示につながらないか
ヘ)提示された議案に含まれている措置は適切か、また当該の問題は他の方法でより効果的に対処できないか

他のすべての議案に関しては、提案された議案および当該企業の固有の状況を踏まえて個別に判断する。
I)企業の反社会的行為
  • イ)当社の反社会的行為の定義

    反社会的行為とは、国民の安全な社会生活を脅かす行為ならびに法人格を与えられた企業が社会的責任を全うしていないことを指す。本規則において安全な社会生活を脅かす行為とは、生命、健康、財産、プライバシー、環境、労働条件、人権その他を損ねる行為を指すものとする。また社会的責任とは納税、法令・商慣行の遵守、説明責任の遂行が該当する。

  • ロ)具体的な事例

    以下にいくつかの反社会的行為として認識すべき事例を列挙する。

    ①環境汚染を引き起こすプロジェクトを遂行(ただし巨大ダム建設、大規模開発、プルサーマル計画などは国益や国家戦略を十分理解した上で判定)

    ②十分に予見され、資金力があったにもかかわらず環境汚染問題に対応しない(企業としてベスト・プラクティス<最善の行為規範>に則って行動しない)

    ③健康・安全を脅かす商品・サービスの提供(武器禁輸国への軍事関連財・サービスの提供を含む)およびその他の行為

    ④雇用の機会均等を遵守しない、または不法就労・強制労働に荷担する

    ⑤犯罪行為、重大な法令違反行為

    ⑥重大な過誤による国民の資産の損壊・滅失・減価

    ⑦トラブル発生時に説明責任、捜査協力義務を果たさない

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