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スペシャルシンポジウム採録 日本におけるESG投資のこれから ~インベストメント・チェーンの最適化に向けて変化する投資家と企業~

2017年12月1日、アムンディ・ジャパンは東京理科大学総合研究院ものこと双発研究部門とESG(環境、社会、ガバナンス)投資に関するシンポジウムを開催し、これまでの共同研究の成果を発表するとともに、ESG投資の推進、インベストメント・チェーンの高度化に向けて、投資家(アセットオーナー)、資産運用会社(アセットマネージャー)、企業の3者が、どのような役割を果たすべきかなどに関して幅広く議論した。

東京理科大学大学院客員教授 ロバート・フェルドマン氏 東京工業大学教授、アムンディ・ジャパン 責任投資諮問委員会委員 井上 光太郎氏
東京理科大学大学院教授  田中 芳夫氏 東京理科大学/アムンディ・ジャパン ESG投資共同研究結果発表
パネルディスカッション 投資家が変われば、 企業も変わる。ESG投資を通じたインベストメント・チェーンの最適化

講演1:日本経済とESG投資

東京理科大学大学院 客員教授 ロバート・フェルドマン氏
ESG投資では、「E」と「S」の改善においてガバナンスの「G」が機能することが重要だ。ガバナンスの観点から米国のESGを見ると、指導者の求心力は低く、政府閣僚内の統制に問題があるため、「E」と「S」に改善の兆しは見られない。同様に日本の財政問題を考えると、この20年間で歳出に占める社会保障関係費用は2倍の120兆円に増加した一方、経済成長に資する教育や研究関連費用は減少している。未来への投資を削減することで、成長鈍化を招いたガバナンスの問題が指摘できる。今後、日本は生産性や資本効率の改善に向けて、危機感を持ってガバナンスモデルの転換に取り組む必要がある。

講演2:ESG 投資への期待と課題

東京工業大学 教授、アムンディ・ジャパン 責任投資諮問委員会委員 井上 光太郎氏
ESG投資は、投資先企業に環境や社会問題に配慮した行動を促すことで、社会全体に広く恩恵をもたらすといわれているが、企業のESG行動と株主リターンとの因果関係は確認されていない。欧米ではガバナンスへの取り組みが強いが、日本では環境・社会に配慮する傾向があるなど、各地域によってESG行動の特性が異なる。投資家が重視する指標の見極めは難しい状況だ。格付け機関のESGレーティングが機関投資家の投資行動に影響を与えることを示す研究が報告されており、関心の高いファクターであることは確かだ。今後、ESGとリターンの因果関係解明に向けてさらなる研究を進める必要がある。

講演3:オープン・イノベーションの観点から見たESG

東京理科大学大学院 教授 田中 芳夫氏
米国産業は「モノからコトへ」が進み、あらゆる産業が連携することで新たな価値を生みだしている。品質向上を図るだけでは売り上げを伸ばせない時代で、日本経済の在り方が問われている。岐路に立つ日本の経済発展のカギを握るのが、「オープン・イノベーション2.0」だ。これは、多様な参加者が横断的に関わることで、個別企業間の連携だけでは生みだすことができなかった価値を創造するという考え方だ。オープン・イノベーション2.0が志向する社会は、ESG投資との親和性が高い。ESG投資の普及とともに、社会の循環と成長を促すことの意義は十分にある。

東京理科大学/アムンディ・ジャパン
ESG投資共同研究結果発表


東京理科大学とアムンディ・ジャパンの共同研究発表では、ESGが企業価値や株価変動に及ぼす影響について、学術的な観点から分析結果が報告された。

まず山下氏が、ESG投資がパフォーマンスに与える影響について、広く評価が得られていない点を指摘。その要因としてESGとその他のファクターの混在を挙げた。山下氏は「動的モデリングや機械学習を活用しESGの効果を検証した。結果、Sスコアがパフォーマンスにマイナスの影響を与える可能性と、Gスコアの変動がパフォーマンスに連動することが分かった」と語った。

続いて佐々木氏が登壇。企業の環境パフォーマンス(CFP)が株式の資本コストに与える影響を分析した結果、環境経営に取り組む企業の資本コストは低くなる可能性が導かれた。「東日本大震災以降、企業の環境負荷の増加に伴い株式資本コストが高まる効果が見られ、投資家が環境負荷の大きさをリスク要因として捉えている可能性が指摘できる」(佐々木氏)。

大沼氏の研究では、多岐にわたる企業の社会的責任(CSR)のうち環境保全活動に着目し、租税負担削減との関係を検証した。大沼氏は「東洋経済新報社のCSR格付けと各社財務指標から算出した環境保全コスト、租税負担削減行動の指標としてETR(法人税等÷税引き前当期純利益)を活用し、それぞれの関係を分析した。CSR格付けとETRとの関係は弱いが、環境保全コストには租税負担削減を強める効果が確認できた」とESG指標の可能性を示す内容で締めくくった。
東京理科大学大学院 客員准教授 山下 隆氏
東京理科大学 経営学部教授 佐々木 隆文氏
東京理科大学 経営学部准教授 大沼 宏氏

パネルディスカッション
投資家が変われば、 企業も変わる。
ESG投資を通じたインベストメント・チェーンの最適化

<パネリスト>
 上智大学 特任教授 引間 雅史氏
 東京理科大学大学院 教授 宮永 雅好氏
 アムンディ・ジャパン ファンダメンタル運用グループ長、アクティブ・ジャパン運用部長 藤田 泰介
 アムンディ・ジャパン ファンダメンタル運用グループ ESGリサーチ部長 近江 静子
<モデレーター>
 アムンディ・ジャパン チーフ・インベストメント・オフィサー 岩永 泰典
パネルディスカッションには、インベストメント・チェーンの当事者たちが一堂に会した。まず企業サイドを代表して宮永氏は「投資家のESG投資への興味は高くない。その点に企業は不満を持っている」と指摘。アセットマネジャー(AM)の藤田氏からは「年金や大学基金など長期投資家を意識して情報発信すれば、おのずとESGに関心の高い投資家が増える」との意見が聞かれた。アセットオーナー(AO)を代表して引間氏は「AOはESG投資に関して企業と建設的な対話をするよう、AMに働きかける必要がある。AMも全社的にESG投資への取り組みを強化すべき」と話した。モデレーターから統合報告書に求められることを問われると、引間氏は「比較可能性」を挙げた。自社の特色を打ち出す一方で、スタンダードな項目については他社と比較しやすい見せ方が求められる。近江氏は「ESGを企業価値に結び付けるには、経営戦略に落とし込む必要がある」とコメント。そのためには経営層が情報開示に積極的に関与するとともに、さまざまな投資家との対話を増やしていくことが欠かせない。

「統合には2つの意味がある」と宮永氏。財務・非財務の統合と、過去・現在・未来という時間軸の統合だ。「この2つについて独自の切り口で語っているのが優れた統合報告書だ。経営計画を振り返り、達成できなかったことについても真摯に向き合い、その理由を分析している企業は極めて少ない。これができれば、対話は難しくない」(宮永氏)。ESGをどう業績に結び付けるべきか問われると、藤田氏は「企業とAMがオープンに対話すれば、これまで意識しなかった市場や経営における重要なリソースや無駄に双方が気付くはず。それがESGという社会課題を自らの付加価値に取り込むきっかけになる」と話した。最後に引間氏から「ESGを意識した経営は、対外的な効果ばかりではなく、社内のモチベーションアップや生産性の向上にもつながる」との意見でパネルディスカッションは締めくくられた。
 アムンディ・ジャパン チーフ・インベストメント・オフィサー 岩永 泰典
アムンディ・ジャパン ファンダメンタル運用グループ ESGリサーチ部長 近江 静子
 上智大学 特任教授 引間 雅史氏
 東京理科大学大学院 教授 宮永 雅好氏
 アムンディ・ジャパン ファンダメンタル運用グループ長、アクティブ・ジャパン運用部長 藤田 泰介
 パネルディスカッション
2018年1月21日日経ヴェリタス・1月22日日経産業新聞 掲載広告より作成

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