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スチュワードシップ活動の概況(2015年度)

2016年5月31日

アムンディの責任投資方針に基づき、アムンディ・ジャパンは、投資先企業の持続的成長を促しつつ顧客・受益者の中長期的な投資利益の拡大を図ることを目的として、「責任ある機関投資家」の諸原則<日本版スチュワードシップ・コード>の全7原則について、2014年5月に受け入れを表明しました。本年度においては、4月1日付でスチュワードシップ活動を推進するための組織を新設し、5月31日に諸原則の受け入れ方針を改訂しました。

  1. 1. スチュワードシップ責任を推進する体制

    スチュワードシップ責任を果たすための活動を推進することを目的として、2015年4月1日に運用本部にESGリサーチ部を新設しました。また、運用部門横断的な合議体として「スチュワードシップ責任推進会議」を設けました。同会議は、ESGリサーチ部を事務局とし、ESGリサーチ部、アクティブ・ジャパン運用部およびターゲット・ジャパン運用部の全てのファンドマネージャー・アナリストが参加し、議決権行使を含むエンゲージメント活動とその成果を運用部内で共有化するとともに、相互の活用を促進することを通じて、スチュワードシップ責任を果たすための活動の幅を広げ経験の蓄積をはかります。また、本社のESGアナリストの知見を共有し重要性の高い非財務課題の認識の向上に努め、投資先企業の状況把握に活用します。
  2. 本年度は四半期毎に会議を開催し、コーポレートガバナンス・コードにおける企業の対応を評価する上で重視すべき項目、有効であったエンゲージメント事例の共有と検証、議決権行使ガイドラインの改正点の背景と確認、議決権行使を適切に行う上でのファンドマネージャー・アナリストとESGリサーチの連携の強化、社外の意見交換会・勉強会への参加者からのスチュワードシップ活動の向上にむけた提言、本社におけるESG投資への取り組みやエンゲージメントテーマの共有などを行いました。
  3. 2. 目的を持った対話の方針

    各戦略における対話の方針は以下の通りです。なお、当社は、投資対象企業との対話に当たって、未公開の重要事実の取得を目的としておりません。未公開の重要事実を受領した場合、当社の役職員は社内規程等に従い、直ちにコンプライアンス部に伝達するとともに、当該企業に強く公表を促し、売買の指図を停止するなど必要な対応をとります。


    • アクティブ・ジャパン運用においては、投資先企業の中長期的な企業価増大・資本効率向上に資することを目的に、以下の観点から対話を行い、当該企業と認識の共有に努めます。
          ① 業績動向や事業環境から読み取れる課題とその対策
          ② 中長期的な事業戦略や財務戦略の方向性と具体策
          ③ 課題対応や戦略推進の進捗状況
          ④ 情報開示やコーポレートガバナンスのあり方

       

    • ターゲット・ジャパン運用の投資先企業は中堅企業が多いため、企業価値向上に関するノウハウの蓄積が少ない会社が珍しくありません。価値創造がなされ企業評価が高まるよう、投資家の視点から企業との意見交換を行います。

       

    • ESGリサーチ部は、運用上の重要性や保有の状況に鑑み、ファンドマネージャー・アナリストと連携しつつ、議決権行使やESG課題について投資先企業と対話します。とりわけ、重大な不祥事などによりガバナンス上の懸念が生じた場合などにおいて状況の把握に努めるほか、対応が不十分な場合に事業リスクが高まるESG課題への対応については、アムンディのESGアナリストと連携しエンゲージメントを行います。
  4. 3. リサーチ

    2015年度のリサーチ件数は、延件数1813件、社数は689社、
    そのうち、「目的をもった対話」として256件、社数は198社でした。

  5. 4.  対話の具体的事例

    アクティブ・ジャパン戦略

    • A社(卸売):資本政策
      従来の商品市況に対する連動性の高いビジネスから脱し、利益を積み上げながら財務体質の改善が認められていました。そのなかで、配当性向が依然として15%以下に留まっていたため、配当性向の方針に関する意見交換を行いました。その結果、同社としても財務体質の改善を認識しており、配当性向についても引き上げる方向で検討する方針であるとの回答が得られました。その後、2015年度の本決算の発表と同時に公表された中期経営計画の中で配当性向を25%に向けて引き上げるとの明確な方針が打ち出されました。同社はキャッシュフローが豊富であり、更なる財務体質の改善と共により一層の株主還元に対する前向きな姿勢が示されるよう働きかけていく方針です。

       

    • B社(卸売):資本政策
      取締役とミーティングを持つ機会が得られました。配当政策については総還元性向という新しい方針が発表され従来よりも株主還元を強化する方針であるとの考えが背景にあることが分かりポジティブに評価されました。中期計画の目標については既に達成しそうな水準に来ていることから適切な見直しをお願いしました。400億円相当の時価総額になる某製薬会社の保有株式については保有している意義が低下していることや時価変動の影響が同社の財務に対して大きいことを説明し、同株式については売却を行い成長投資に向けるか株主還元を行うことが望ましいとの意見を伝えました。これに対して同社は経営課題と考えているとコメントしつつも大株主とのビジネス的な関係を考慮すると簡単ではないとの意見でした。この保有株式の件については海外投資家からは従来から指摘を受けているが、国内の投資家から指摘を受けることはあまりなかったともコメントされました。当社の考えを伝えたことにある程度の理解を示してくれたようなので、今後の展開をフォローしたいと思います。

       

    • C社(建設):資本政策
      常務取締役とのミーティングを持ちました。2015年12月までに発表予定のコーポレートガバナンス報告書に向けてROEや配当方針について固まっているお考えを明文化してコミュニケーションを取りやすいように努めてもらえるよう依頼しました。結果としては、2015年11月に公表された同社のコーポレートガバナンス報告書ではROE5%を目指すとの方針が明示されました。まだ、水準自体は改善の余地があると思われるので今後も更に働きかけを行い、収益性の向上に向けた取り組みを提案する方針です。

       

    • D社(通信):ESG、資本政策、ビジネスモデル
      代表取締役社長を含む経営陣とのミーティングを複数回持ちました。対話の内容は「事業戦略、資本政策、情報開示、ESG」と多岐にわたり、その都度、IR担当者からは良好なフィードバックを頂戴することができました。対話の成果といたしましては、各種IRミーティングにおける情報開示の在り方やカード・ポイント戦略の大幅刷新などについて、会社側と過去3年間、継続的に問題意識を共有してきた内容に沿った変化がありました。現在は「資本政策の進化」を問題意識として共有しており、中長期的な企業価値増大に資する対話を継続していく方針です。

       

    • E社(建設):中期経営計画と攻めの経営
      2016年3月に同社IR担当と今年度において2回目のミーティングを持ちました。2015年度通期の会社計画は期初から変更無し。第2四半期決算発表時に上期計画を上振れ、第3四半期も好調でしたが会社計画の業績修正は発表されませんでした。この状況が続けば当初の会社計画を超過する可能性が高く、今期からの中期計画で掲げていた2018年3月期の目標営業利益を初年度で上回る可能性も高いと判断されました。同社も仮にそのような状況となった場合に中期経営計画を見直すべきかどうかを検討しているようでした。当社からは、経営計画を適切に見直しを行わないと、投資家が同社は計画を掲げているだけで経営目標として重視していないと判断されてしまう懸念があるため、適宜見直しを実施するようお願いしました。2016年5月に発表された同社の2015年度実績の営業利益は想定通り好調であり、中期計画の営業利益を上回る結果となりました。この本決算発表と同時に同社は中期経営計画の営業利益目標を上方修正し、より高い挑戦を目指す姿勢を明確に示しました。投資家にとって同社の目指す目標がよく伝わるメッセージになったと評価されます。

       

    ターゲット・ジャパン戦略

    • A社(化学):資本効率、中計、ガバナンス
      株価が純資産を下回った状況で希薄化を招くファイナンスを数度実施した経歴がありますが、その意思決定のあり方について納得のゆく説明は得られていませんでした。そもそもROEに対する意識が希薄で、株主還元に関する方針も曖昧でした。この点についての投資家の関心の高さ、今後の方針策定について対話を行ってきました。その結果、同社は資本政策に言及した中計を作成し、ROE、配当性向・自社株買い、自己資本比率、政策保有株式の売却可能性について発表しました。しかし残念ながら、資産の有効活用が十分とは言えない点、社長がIRの第一線から退こうとされていることなどが懸念され、この点については改善されるように対話を進めている状況です。

       

    • B社(電気機器):資本政策、ガバナンス
      株主還元についてもともと前向きでありましたが、コーポレート・ガバナンスコードの導入を受けて、さらに積極化の方針を発表しました。また政策保有株式についても、一気にはできないとしながらも明確に削減・売却の方向性を打ち出し、確実に改善されてきています。一方で買収防衛策の廃止については、数年にわたる対話の中で、経営の課題として取り組んでいるとの説明を受けてはいますが、いまだ実現されていません。今後も粘り強く対話を継続して行く所存です。

       

    • C社(機械):資本政策、ガバナンス
      対話を重ねるうちに、徐々に株主利益に対する姿勢の変化が見えました。海外の関係会社との共通目標としてROEを意識し始め、自己株の買戻しと消却を発表しています。また、企業価値に連動した株式報酬の導入計画も発表するなど、投資家目線での経営が進んでいます。前期は減益決算となる中で1人当たり役員賞与額を増額していることも併せて、今後は報酬の決定方法・透明性について対話を進めたいと思っています。

       

    • D社(建設):中期経営計画、IRの向上
      これまでは一切のIRを拒否してきましたが、昨年になって初めて訪問調査が受け入れられました。東証1部上場を目指し、株式市場にアピールしてゆきたいとのことでした。そのためには何より中計の発表と説明会の開催が必要であることを説明しました。また、同社は経営が堅調で資金余裕度も非常に高いにもかかわらず、配当性向は1割以下という状況でした。特に大きな投資案件も無い中では、株主還元の方針を策定することが有用であると意見を述べさせて頂きました。めでたく、来る5月に初の説明会を開催する運びとなりましたが、中計の中身にも大いに期待しています。同社はまだ今年がIR元年であるため、今後も積極的に投資家の関心事項等について対話を継続して行きたいと思っています。

       

    ESGリサーチ

    • A社(公益):ESG課題への対応についての精査
      甚大なESG課題に直面しているため、投資不適格とするかを再検討するために、改善に向けた取り組みの状況を確認しました。従業員の安全に向けた施策の強化や、汚染拡大の防止措置の拡充が進展していることを確認しました。その後、社内での議論において、投資不適格とせず継続的に対応状況を検証するとの結論に至りましたので、その結論と今後の取り組みに着目している旨を伝えました。同時に、課題への対応の進捗状況ついて、説明会などによる積極的な開示や、HPでの英語による情報開示が重要である旨を提言したほか、ESG課題への統括的な取りくみについても方針を策定するのが望ましい旨を伝えました。同社からは今後、前向きに取り組みたいとの回答を得ました。

       

    • B社(石油・ガス):ESG課題についての協働エンゲージメント
      資源開発に携わる企業は、グローバルに事業展開しており、現地のコミュニティーへの影響度が高いため、対応を怠ると事業面でのリスクにつながることから、同社の人権ポリシーへの取り組みについて、PRIのネットワークを活用し他の機関投資家2社と協働してエンゲージメントを開始し、ポリシーのフレームワークや苦情処理スキーム、トレーニングの概要を確認しました。今後は、モニタリング体制などの詳細を確認し最終的には、独立した人権ポリシーを策定することが望ましいことについて対話を行っていく方針です。

       

    • C社(化学):ESG情報開示
      ESG情報の効果的な開示方法やESG投資のグローバルでの実践状況についての同社からの問い合わせを受けて対話しました。非財務情報はアンケートではなく公開情報を主に活用しており、統合報告書、サステナビリティー報告書などにおける積極的な情報開示の重要性を説明しました。同社は統合報告書を補完するデータ集を作成していますが、この有用性を高く評価しており今後も継続を希望する旨を伝えました。また、中長期的な非財務目標についてKPIなどを掲載することの重要性について説明し、対応を促しました。

       

    • D社(運輸):不祥事後の取り組みの確認
      コーポレートガバナンス方針の策定を受け、ファンドマネージャーとともに基本方針などについて対話しました。同社は監査役設置会社ですが、任意の委員会として社外取締役を委員長とする指名委員会・報酬委員会を昨年に設置し、透明性を確保する一方、経営会議・執行役員会の整備により、攻めの経営に向けた迅速な執行体制を整備したことを肯定的に評価する旨を伝えました。また、過去にカルテル違反があったことを受け、再発防止に向けた取り組みについて確認しました。社長がCSRに関し、「何をどうしていくのか、それをやらなかったらその結果としてどうなるのか」について、社内へのメッセージの発信を強化している状況について把握したほか、社員に対する定期的な研修に加え、Eラーニングも導入し倫理・コンプライアンスの徹底を図っていることを確認しました。役員選任において、社外取締役の独立判断基準が示されており、社外取締役は多様性があり、国際経験など同社が必要とされる知見を有する役員を選任していることを確認する一方、社外監査役は政策保有があるメインバンク出身であることから、独立性の高い候補者の選任が望ましい旨を伝え、考慮するとの回答を得ました。

       

    • E社(商社):独立性と取締役構成
      コーポレートガバナンス方針と、本年上程される議案内容につき対話しました。社外取締役の再任議案のうち、取引先であり大株主かつ政策保有先企業出身の候補者の独立性についての懸念を確認しました。企業側からは、企業経営者としての高い知見と国際経験、製造業出身であることから取締役会にもたらされる多角的な知見についての納得性の高い説明を得ました。本年度上程される議案が通った暁には取締役会の独立性が4割以上に高まること、当該候補者以外の候補者には十分な独立性があること、諮問機関として社外取締役を委員長とするガバナンス・報酬委員会を設けていることなどを考慮し、当該選任議案に対して一律に反対することはないと判断し、その旨を共有しました。

       

    • 企業複数社との意見交換:議決権行使
      本年の議決権行使ガイドラインを改訂するにあたり、企業側からも幅広く意見を聞き参考とするために15社の担当者との意見交換会の場を持ちました。社外取締役の独立性判断については、一定の基準を設けて判断するものの、基準を満たさない場合でも、社外役員の実効性や利益相反の可能性などについて、対話により確認できた場合には肯定的に判断すること、社外役員の兼務数が多い場合は実効性に支障はないか確認する必要があること、買収防衛策については時価総額が解散価値を割り込む場合などにおいては経営者の保身として捉えられ、企業価値向上に向けた取り組みを最優先事項として求めることなどについて意見交換を行い、これらの議論も踏まえて本年度のガイドラインを見直しました。同時に弊社のESG投資プロセスを紹介し、非財務情報の開示への取り組みを促しました。
  6. 5. スチュワードシップ責任を果たすためのその他の活動

    • 日本企業のコーポレートガバナンスおよび投資家としてのスチュワードシップ活動の向上のため、各種研究会への参画や各種団体とのミーティングなども実施しています。
    • ESGへの取り組みについて企業のIRやCSR部門が参加する会合で、弊社のESGへの取り組みに関し、積極的な情報開示に努めました。
       ・フロンティア・ネットワーク第2回ワークショップ
       ・CDPジャパン2015年報告会
       ・経済産業省と東京証券取引所が主催する「なでしこ銘柄」選定基準説明会
       ・環境省「環境情報開示基盤整備事業」成果報告会
  7. 6.  アムンディグループにおけるエンゲージメント

    アムンディでは、ベストプラクティスに向けて、企業に影響力を与えることを目的としたエンゲージメントを行っています。2015年のエンゲージメントテーマとして、資源開発業界における人権ポリシーの尊重、食品・食品小売業界における食品廃棄への対応、エレクトロニクス業界における紛争地域からの鉱物の責任ある調達に向けた対応、自動車業界・製薬業界におけるロビー活動方針に関するエンゲージメント活動を実施し、その結果をエンゲージメント・レポート2015に纏めています。

  8. 7.  議決権行使

    議決権行使の方針および行使結果につきましては、議決件行使の方針に関する以下のページをご覧ください。

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